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PERSIAN CARPET

プロダクトプランニングセンターK&Mがお届けするペルシア絨毯情報

ペルシア絨毯の意匠

狩猟文様/ハンティング・デザイン

 

狩猟はイランに限らず、古今東西、戦闘場面のシミュレーションとして、また王侯貴族の嗜みあるいはゲームの類として、時の権勢者たちに好まれてきた。紀元前のアケメネス朝のレリーフに刻まれた獅子を屠る帝王の勇姿、パルティアン・ショットと呼ばれる騎乗による振り向き様の弓射、サーサーン朝の騎馬獅子狩りの連珠文錦や銀盤など、古代ペルシアから連綿と続く帝王や勇者の権威、勇姿を誇示する代表的意匠である。

 

かつて王宮の近くには狩猟のための獲物を飼育しておく塀で囲った「猟園」が存在した。このような場所を古代・中世ペルシア語でパイリダエーザpairidaezaと呼んだ。これがギリシアでパラディソスとなり、ラテン語のパラディススparadisus、さらに英語のパラダイスparadiseへと変化した。まさに楽園であり、天国なのだ。

 

この言葉は現代ペルシア語では、シェカールガー(猟場)、英語ならhunting groundである。よってペルシア語でこの意匠はシェカールガーShekar-gah、英語でhunting designと呼ばれている。狩猟図の背景の樹木や小動物の表現は楽園の情景にも通ずる。

 

サーサーン朝のバハラーム5世(在位420-438)は、バハラーム・グールの渾名をもつ文武に長けた王であった。グールとは野生のロバで、狩猟に明け暮れたことから名づけられた。フェルドゥスィーの『シャー・ナーメ(王書)』やネザーミーの『七王妃物語』に登場する物語の中の王でもある。狩猟を愛したこの王の騎馬狩猟図が絨毯に織り込まれることは多い。

 

サファヴィー朝初期の絨毯で、ボストン美術館、ポルディペッツォーリ美術館、オーストリア工芸美術館に収蔵されている絨毯の狩猟図は、圧巻である。近年でも、イラン人はこの意匠を好み、工房作品にも伝統的な狩猟図が採用されることも多い。

 

この狩猟図も、さまざまな狩猟の場面が盛られる。騎乗で刀剣を振るい獲物に斬りつける者、槍で仕留めようとする者、騎上から矢を射て獲物を狩る者、そして素手でライオンと闘う者、投縄して獣を捕らえようとする者など、その表現はヴァリエーションに富むが、これら闘争の姿は、いずれも生誕から独立に到る勇者の苦心を象徴するもので、究極の統一に向かう旅と考えられている。

メダリオン・コーナー
中央集中的意匠
メダリオン
ゴンバド文様
狩猟.png

狩猟文様絨毯

​イラン・エスファハーン/セイラフィアーン工房作品

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