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PERSIAN CARPET

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ペルシア絨毯情報

9069|ギアサバード・メヘラーブ文様絨毯

商品名/ギアサバード・メヘラーブ文様絨毯

生産地/イラン・ギアサバード

製作年代/近作(経年0〜10年/未使用品)

サイズ/202x125㎝ 

パイル/ウール 

縦糸/綿

織り密度/1㎝角に7×6=42kn(ノット) 

計算上の総ノット数/1,086,750kn

9013|バルーチ・メヘラーブ文様絨毯

Mehrab design 

メヘラーブ文様絨毯

部族民などの礼拝用絨毯では、凸型の形象をした直角的なメヘラーブや階段状になったメヘラーブも存在する。本作もそうしたもののひとつで、イラン北東部・ホーラサン地方に居住するバルーチ族によって制作されたものとされている。 

商品名/バルーチ・メヘラーブ文様絨毯

生産地/イラン・ホーラサン地方

製作年代/1990年頃(経年25〜30年)

サイズ/156x95㎝

パイル/ウール

縦糸/ウール

織り密度:1㎝角に6×4=24kn(ノット)

総ノット:355,680kn

※knとはknot(ノット=結び)の略

Mehrab design 

メヘラーブ(ミフラーブ)文様
連花葉文様
パネル文様
ペルシア絨毯の意匠

礼拝用の絨毯というより、壁面を飾るタペストリーとして制作されたと見られる装飾性の高いメヘラーブ・デザインの絨毯。フィールド中央下部には花瓶が据えられ、生命の樹のバターンを示す植物文が枝を広げフィールド全面を埋め尽くしている。楽園の一情景を描いたものと思われる。

メヘラーブ文様絨毯

Mehrab design 

メヘラーブ図.png

メヘラーブとは、モスクの礼拝室における、聖地メッカの方角の内壁中央に設けられたアーチ形の窪み、壁龕(へきがん/ニッチ)のことである。ムスリム(イスラーム教徒)は、神への服従と感謝の念を表明する礼拝という行為が義務付けられている。

 

厳格なスンナ派だと一日5回の礼拝を行う。この礼拝を行う方角が、アル・キブラ(向かう方角の意)で、マッカ(メッカ)のカーバ神殿の方角に向かうことが624年に定められた。

 

モスクだと、メヘラーブのあることで礼拝の方角は明らかに定められている。祈りの場所がモスクでなくとも、信者にとっては今いる場が、時間がくれば常に礼拝の場となる。すべての大地があなた方のモスクである、と預言者モハンマドは語ったといわれる。

 

して、その種の建造物モスクは不必要な誇示へと導くものであると言い、まことに信者の富を食い潰す最も不利益なものこそ建物であるとも言ったとされる。

 

この向かうべき方角、メヘラーブのアーチ形を意匠とするのがメヘラーブ絨毯であり、一般に礼拝用絨毯と呼ばれるものである。アーチの頂点がマッカに向くように敷かれた礼拝用絨毯は、その絨毯がひとつのモスクになり、信者にとっては持ち運び可能な聖化された場となる。

1463年にイランで製作された『ミーラージュ・ナーメ(昇天の書)』の挿画には、アダムをはじめとする預言者たちと共に預言者モハンマドがメヘラーブ絨毯の上に座り、礼拝している姿が描かれている。

 

イスラームにおける絨毯の需要がこの礼拝用絨毯にあるとよく言われる。モスクに出かけない折には、自宅においても簡便な私設モスクとなるのである。絨毯に限らず、メフラーブ絨毯の代用となる布を携帯用に持参するムスリムの旅行者も多いと聞く。いわゆるアーチ形のデザインがメヘラーブ絨毯であるが、これにもさまざまなパターンのものが存在する。

上述した挿画の中のメヘラーブ絨毯は、擬宝珠(ぎぼし)形の、いわゆる葱坊主のような形態のものである。この変形のものは、ソルターンの頭Soltan’s headと形容されるタブリーズやトルコで16-17世紀から見られるものであり、クルアーンの章句が充填されているものも多い。

 

次に、屋根型、ホームベースを逆さまにしたような、直線的なメヘラーブもあらわれる。これが部族民などの礼拝用絨毯では、凸型の形象をした直角的なメヘラーブとなる。その中間的な階段状になったメヘラーブも存在する。ペルシアの都市部では、壁龕であるメヘラーブの形状そのものである曲線を含む、先の尖ったアーチ形のメヘラーブが中心となる。このアーチも、さまざまにアレンジされ、曲線が入り込んだ複雑な形態となるものも数多く見られる。

もうひとつのメヘラーブ絨毯は、モスクの礼拝場などによく見かける、列柱と天井部アーチで構成されたメヘラーブのパターンである。これはトルコで頻繁に採用されてきたメヘラーブで、アナトリアの意匠を意味するアナトリーAnatoriと呼ばれることがある。このタイプの構図で代表的な付随物は、モスクランプ、ペルシア語ではゲンディールqendilと呼ばれるものである。

 

このモスクランプは、クルアーンの「光り」の章で、「アッラーは天と地の光り。この光りをものの譬えで説こうなら、まず御堂の壁龕に置いた燈明か。燈明は玻璃に包まれ、玻璃はきらめく星とまごうばかり。(井筒俊彦訳)」と表現されている燈明のことである。

 

御堂(モスク)の壁龕と燈明、すなわちメヘラーブとゲンディールは、イスラームにおいて神を象徴するものとなっている。とくに列柱が2本のタイプのものでは、中央下部のスペースに生命の樹や花瓶に植えられた花卉を伴うものも多い。これらの意匠には、何らかのメッセージが含まれている場合がある。

一般にメヘラーブは、ムスリムにとっては開かれた神の世界への入り口であり、彼岸の世界、すなわち天国への入り口と見做されている。このアーチの形象は、まさに天国への門である

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