11/23の問題
有名なアルダビール絨毯について、1539-40年の銘をもつ、この絨毯は長い間アルダビールにあるサファヴィー家の祖先を祀る廟のために製作されたと信じられてきましたが、遺された目録などの資料研究や廟の部屋のサイズなどから、近年、この関連性に疑問が投げかけられ始め、他の廟からもたらされたのではとの推論がうまれています。かつてアルダビール絨毯が収められていたと示唆(推論)されている廟についてお答えください。…というのが11/23日の問題でした
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解答
マシュハドのエマーム・レザー廟
言い伝えによれば、ロンドンにあるヴィンセント・ロビンソン商会は1891年12月に、マンチェスターに本拠をおくズィーグラー商会から、アルダビール廟に遺されていた4枚の16世紀の絨毯を受け取ったされています。この有名な4枚は2組のペアとなっており、メダリオン文タイプのペア絨毯はアルダビール絨毯と名付けられ、ロンドンのヴィクトリア&アルバート美術館とロサンゼルスの群立美術館に収蔵されています。もう一組の動物文タイプのペア絨毯は、現在、ニューヨークのメトロポリタン美術館とカタールのイスラーム美術館に収蔵されています。これら4枚の絨毯が本当にアルダビールからもたらされたのか…どうか幾つかの疑問がなげかけられていますが…その根拠のひとつとなっているのがヴィンセント・ロビンソン商会の元従業員が残した記述で、この4点のうち少なくとも1点はマシュハドのエマーム・レザー廟から齎されたものと推測されるているからです。ただ、ロビンソン商会からもたらされたこの経歴も、目撃者による著述や1996年に発表されたドナルド・キングの論文などによって疑問視されており、その論争に決着はついていません。
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